「資産運用というのは、インフレから資産を守るためにするものです。」という話はどう考えるべきか?

「資産運用の目的には、インフレから資産を守るという意味がある。」というのもわからなくはないが。

資産運用をする目的として、「インフレから資産を守る」という話をよく見かけます。

確かに、インフレというのは、物価が上がることを指すので、逆の見方をすれば現金の価値が下落することになります。

ましてや、今の時代のような世界中で現金が作られ、そして沢山流通している時代ともなれば、需要と供給の関係から、物の価値が上がるのではなく、ただただお金の価値が下がるだけの通貨安のインフレが起こるのではないかと危惧する気持ちもわからなくもありません。


しかし、「インフレが起こるから資産運用をしましょう。」といって、安易に「株式市場に連動するインデックスファンドに投資しましょう。」という説明の流れには、若干の違和感を感じなくもありません。

インフレと株式市場には正の相関性があるため、インフレが起これば、株式市場も上昇するという理屈なのでしょう。

確かに、過去のチャートなどを持ち出されると、インフレと株式市場には正の相関があるように感じなくもありません。

理屈の上でも、「企業は現金ではなく不動産や有価証券、資源、商品といった現金ではない資産を持っているのだから、企業の価値(値段)を表す株価は、インフレに追随するはずだ。」と言われると、なんか納得してしまうものがあります。

しかし、本当にそれでいいのだろうか?


インフレといえば、直接的にはモノの値段があがることのはずです。

だったら株式よりも、インフレそのもののモノの価格である、金や原油、農産物といったコモディティ類に直接投資をした方のが、よりインフレの影響を享受できるのではないかと考えてみたらどうだろうか?

その疑問に対して、もし相談している投資のアドバイザーが、「?」と思うような説明しかできないのであれば、実際には、「本当にインフレが来るのか?」というところから疑ってみたほうのがいいのかもしれない。


正確には、「資産運用をすることでインフレから資産を守る」のではないかもしれない。

そもそも株式投資とは、ストックの積み上げと考えたほうがわかりやすい。つまりは、貸借対照表で言うところの純資産が参考になる。

純資産は、企業が利益を上げると、その利益が純資産に積み上がる。企業が利益を積み上げて積み上げて、年数をかけて純資産の総額が増えていき、時間をかけて株価に反映される。

インフレが来たことで、もし利益にマイナスの影響(値上げをためらう)を与えたのだとしたら、そもそも純資産の積み上げにはならないので、株価上昇には関係がないはず。

また、企業利益となる分は、「売上-仕入れ」。インフレによって仕入れ値が上がった時に、仕入れ値が上がった金額と全く同じ金額で値上げしたのでは、企業に残る利益額はインフレになっても変わらない。

つまり、「インフレが株価の上昇につながるとは言い切れないのでは?」と考えることもできなくもない。


つまり、理屈の上の説明というのは、見方によって、いかようにもできるということです。

株式投資をさせたいと思っている側からすれば、たとえどんな状況であっても、株価が上がるという理屈を、いかようにもでも話すことができる。

だから、「インフレになるから、株式投資をおすすめします。」なんて理屈は、所詮その程度の話でしかないのかもしれないと思った方が買う側の見方としては正しいように思っています。


そもそも、資産運用をすることでインフレから資産を守れるという考え方は正しいのだろうか?

個人的には、違う見解でも考えられると思っています。それは、過去は「資産運用をしていたことで、たまたまインフレから資産を守れた。」ように見えるというものです。

株式市場のリターンは、年7%とか10%でリターンが生まれてきたというデータがある。

つまりは、株式市場のリターンが、単にインフレ率2〜3%よりも高かっただけという可能性です。

つまり、株式市場とインフレに因果関係があるかないかは、二の次ってこともあるかもしれないという視点です。

たとえば、もしインフレ率が、株式市場のリターンを超えて10%以上になってくることがあったとしたら。そのとき株式投資は、投資のアドバイザーなどが話す理屈の通りにインフレ率を上回ることができるのだろうか?


結論から言えば、「株式市場とインフレ率が直結している」なんて考えない方がいいと思っている。

当然、「株式投資をすればインフレに負けない」なんて話を安易に受け入れて、そして軽く考えて、株式投資をするものではないと思っています。

今まで十数年間、株式市場と向き合ってきた中で、相場と言うのは、「こうなったから、次は必ずこうなるはず」みたい話が素直にあてはまるようなところではないと感じています。


そもそも、投資というのは『不確実性』というリスクを取ることです。

不確実性とは、「先のことはわからない。」という意味しかなく、それ以下もそれ以上もありません。

「こうすれば、こうなる」みたいな、わかった気になって行動していると、必ずと言っていいほど痛い目を見ることになります。それは、「先のことは、わからない。」という原理原則をないがしろにしているからです。


投資家として自立するための投資スタイルというのは、先を予測して動くことではないと思っています。先読みできる能力よりも、世の中の変化に対応できる柔軟さのほうのが、ずっと重要だと感じています。

日々変化している市場や経済に合わせて、「後出しジャンケン」のような戦略で挑む。

ゲーム理論においても、複雑で不確実な世界の中で、賢く生き残るための作戦は、『しっぺ返し戦略』だと言っています。

この『しっぺ返し戦略』が、同じ不確実な世界である投資の世界でも、当てはまるのではないかと考えています。

ただ、そのようなことができることができるようになるためには、それなりの知識と経験が必要とされるというところが、投資や資産運用の難しさなのかもしれません。

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